OpenWebUI 完全ガイド 2026年5月最新版

OpenWebUI

自分のサーバーで動かす AI プラットフォーム 完全ガイド

v0.9.5 | 2026年5月最新版

OpenWebUI とは

OpenWebUI は、「どの AI モデルも 1 つの画面で使える」をコンセプトにした オープンソースの AI プラットフォームです。 自分のサーバーにインストールして使うタイプで、複数の AI モデルをまとめて管理できます。

完全オープンソース

GitHub で 140,000 件超のスターを獲得。世界でもっとも使われているローカル AI 向けの操作画面です。

🔒完全オンプレミス対応

データを一切クラウドに送らずに動作します。社内の機密情報も安心して扱えます。

🚀活発な開発

週に複数回バージョンアップされ、新機能が次々と追加されます。直近 6 ヶ月で 50 件以上のリリース実績。

🔌多数の AI サービスに対応

Ollama・OpenAI・Anthropic・Groq など、主要な AI サービスをすべて 1 つの画面で利用できます。

👥企業向け機能を装備

役割ベースのアクセス制御(RBAC)・シングルサインオン(SSO)・LDAP など、大規模組織向けのセキュリティ機能を標準搭載。

設定不要でデプロイ可能

Docker Model Runner と自動連携します。複雑な設定なしで、数分で起動できます。

対応している AI サービス: Ollama • OpenAI • Anthropic • Groq • LM Studio • vLLM • TGI • OpenRouter • Mistral • Azure OpenAI • Cloudflare Workers AI • その他 OpenAI 互換のサービス全般

主な機能一覧

機能 説明 用途
📊 複数モデル同時会話 複数の AI モデルに同じ質問を同時に送って回答を比較できます モデルごとの違いを確認、最適なモデルを選ぶ
📚 RAG(検索拡張生成) 自社ドキュメントや知識データベースを参照して回答を生成します 社内資料の検索、機密データの安全な活用
🔍 Web 検索連携 複数の Web 検索エンジンを切り替えて使えます 最新情報の取得
💾 ナレッジベース ドキュメントを永続的に登録して検索対象として使い続けられます 組織の知識を一元管理
🎨 画像生成連携 AUTOMATIC1111・ComfyUI・DALL-E に対応しています 会話の流れで画像を自動生成
🎤 音声入出力 ブラウザの音声機能(Web Speech API)に対応しています ハンズフリー操作、アクセシビリティ向上
⚙️ カスタム関数(Functions) Python でカスタム処理を書いて組み込めます 業務システムとの連携
🔐 RBAC(役割ベースのアクセス制御) ユーザー・グループ単位で細かく権限を管理できます 企業レベルのセキュリティ管理
💬 チャンネル機能 部門ごとにカスタマイズした AI 環境を作れます 組織内での分散管理
🔗 MCP 連携 外部ツールやシステムと接続できます AI エージェントとして活用

動作フロー

質問を送ってから回答が返ってくるまでの流れ

🌐 ユーザーのブラウザ 🎨 OpenWebUI Frontend ⚙️ OpenWebUI Backend 1️⃣ プロンプト前処理 テンプレート適用 システムメッセージ付与 2️⃣ 機能分岐 RAG / Web検索 画像生成の実行判定 3️⃣ モデル選択 複数モデル同時会話 または単一モデル 4️⃣ LLM 呼び出し Ollama / OpenAI / Anthropic等 5️⃣ レスポンス 処理 📊 データ保存層 SQLite / PostgreSQL: チャット履歴・ユーザー情報の管理 ChromaDB / pgvector: ベクトルデータベース(RAG 用) ファイルシステム: ドキュメント・設定ファイル 🔗 外部サービス連携(オプション) Web検索 (Tavily/Bing) • 画像生成 (DALL-E/ComfyUI) • MCP (外部ツール) • SSO/LDAP (エンタープライズ認証)
💡 ポイント: 各ステップは独立して動作し、使わない機能は自動的にスキップされます。 たとえば RAG を使わない場合は Web 検索のみ実行、複数モデルを設定していない場合は 1 つのモデルだけで処理されるなど、 必要な処理だけが自動的に選ばれます。

機能の詳細解説

RAG とは?

Retrieval-Augmented Generation(検索拡張生成)の略です。社内ドキュメントやナレッジベースから 関連する情報を検索し、その内容を踏まえた上で AI が回答を生成する仕組みです。

RAG の 3 層構造

推論モデル
Qwen / Llama など
埋め込みモデル(Embedding)
multilingual-e5
リランカー(再選別モデル)
Qwen-Reranker

処理フロー

ユーザー: 「2024年度の売上は?」 ↓ // テキストをベクトル化(Embedding) 「2024年度 売上」 → 数値の配列(意味を表す) ↓ // ベクトル検索(意味で検索) 営業成績_2024.pdf ← ヒット! Q3_営業戦略.docx ← ヒット! ↓ // リランキング(関連度の高い順に並び替え) もっとも関連度の高い 1 件に絞り込み ↓ 営業成績_2024.pdf の内容を AI に渡す ↓ 回答: 「2024年度の売上は... 参照: 営業成績_2024.pdf」
設定のコツ:
✓ 埋め込みモデルは「multilingual-e5-large」(日本語に強い)または「bge-m3」(多言語に強い)がおすすめ
✓ リランカーモデルも必ず設定しましょう(精度が大きく向上します)
✓ ドキュメントは事前に整理してから登録するとより精度が上がります

複数モデルを並べて比較する

1 つの質問を複数の AI モデルに同時に送り、 それぞれの回答を一画面で見比べられます。

ユーザープロンプト Model A Qwen 2.5 (日本語強) Model B Claude API (高品質) Model C DeepSeek-coder (コード特化) 3つの回答を横並び比較 各モデルの異なる視点を一画面で評価可能

活用例

  • コード生成: 複数のモデルが書いたコードを比較して最良のものを選ぶ
  • 日本語文章処理: Qwen と Gemini の日本語品質を同時に比較する
  • 意思決定サポート: 異なる得意分野を持つモデルの意見を集めて判断する
  • 品質確認: 同じタスクに対して複数モデルが一貫した回答を出しているか検証する

ナレッジベース

社内ドキュメントを登録・管理しておくと、チャットで質問したときに自動的に参照してくれます。

設定の流れ

ステップ 1

ドキュメントを登録する

管理者設定 → ナレッジベース → ドキュメントをまとめてアップロード

ステップ 2

モデルを選ぶ

埋め込みモデル(multilingual-e5)とリランカーを設定する

ステップ 3

自動でインデックスが作られる

ドキュメントがベクトルデータベースに自動で登録される

ステップ 4

使い始める

チャットで質問すると、ナレッジベースから自動で検索・参照される

登録例

Knowledge へ登録: ├─ company_info.txt (会社方針) ├─ product_manual.pdf (製品マニュアル) ├─ sales_data_2024.xlsx (営業データ) └─ faq.md (FAQ) ↓ チャットで質問 User: 「この製品の取り扱い方法は?」 ↓ Knowledge 自動検索 ↓ product_manual.pdf から該当情報抽出 Assistant: 「その質問については、product_manual.pdf に記載があります。 ~ 記載内容を引用 ~」

活用パターン例

パターン 1: 社内の機密情報を安全に AI で活用する

🔐 データをクラウドに一切送らない構成

【構成】 ├─ Ollama(ローカル推論) │ └─ Qwen 2.5 / Llama 2 ├─ OpenWebUI(フロントエンド) ├─ ChromaDB(ベクトルDB) └─ Knowledge ├─ 契約書.pdf ├─ 経営方針.txt └─ 過去案件.xlsx 【フロー】 1. 社員: 「この契約条件は過去例と比べて?」 2. Knowledge から関連契約を検索(ベクトル化) 3. リランキングで最適な参照資料を抽出 4. Ollama のローカルモデルで分析 5. 「過去の case X と比べて、3項目が異なります」 ※ すべてオンプレミスで完結!

パターン 2: 複数モデルをタスク別に使い分ける

⚡ 目的に合ったモデルを選んで使う

【モデルの使い分け】 ├─ コード生成 → DeepSeek-coder ├─ 日本語テキスト → Qwen 2.5 ├─ 高品質回答 → Claude API └─ リアルタイム情報 → Web 検索連携 【利用例】 「Python で Kubernetes デプロイスクリプト作成」 ↓ DeepSeek-coder へ送信 ↓ 「このスクリプトの最新ベストプラクティスは?」 ↓ Web検索 + Claude で最新情報統合 ↓ 🎯 最高品質な回答が得られる

パターン 3: 全社員が使える AI 知識共有システムを作る

👥 部門ごとにカスタマイズした AI 環境

【構成】 マーケティング部門 ├─ モデル: GPT-4(高品質)+ Web検索 ├─ Knowledge: 競合分析・トレンド資料 └─ チャネル: #marketing_ai 技術部門 ├─ モデル: DeepSeek-coder(コード特化) ├─ Knowledge: 技術仕様・コードレビュー ├─ Functions: 社内 API 連携 OK └─ チャネル: #tech_ai 営業部門 ├─ モデル: Qwen 2.5(軽量・日本語強) ├─ Knowledge: 顧客情報・提案テンプレート └─ チャネル: #sales_ai 【管理】 ✓ PostgreSQL で複数ユーザー対応 ✓ RBAC で部門間のアクセス制限 ✓ チャネルごとの使用ログ監査

本番運用のポイント

💾データベースの選び方

開発・検証時: SQLite(初期設定のまま使える)
本番利用時: PostgreSQL への移行を推奨
複数人が同時に利用する環境では必須です

ベクトル検索の高速化

ChromaDB のデータフォルダを SSD に置くと速くなります。
PostgreSQL を使う場合は pgvector 拡張機能を活用しましょう。

📦メモリ管理

チャット履歴が増えすぎると表示が遅くなります。
500 件を目安にアーカイブすることをおすすめします。

⏱️リバースプロキシの設定

長時間かかる回答の途切れを防ぐための設定です。
Nginx の場合: proxy_read_timeout 300s

🔧本番モードで起動する

ENABLE_FRONTEND_HMR=false で設定します。
ブラウザの開発者拡張機能を無効化した状態で動かしましょう。

🛡️セキュリティ強化

SSRF(サーバー経由の不正リクエスト)対策が実装済みです。
内部ネットワークへの不正アクセスを防げます。

PostgreSQL への移行方法

# 環境変数に設定して起動します DATABASE_URL=postgresql://user:pass@host:5432/openwebui # 初回起動時にテーブルが自動で作成されます docker run ... -e DATABASE_URL=postgresql://... open-webui/open-webui

アップデートの方針

開発ペース: OpenWebUI はほぼ毎週、複数回アップデートされます。 定期的に更新してセキュリティパッチや新機能を取り込みましょう。

更新方法: Docker を使っていれば、コマンド 1 つで最新版に更新できます。 面倒な設定変更は不要です。

最近のアップデート履歴

2026年5月

v0.9.5 リリース

不正リクエスト対策(SSRF 防御)の強化、Markdown 表示をチャットごとに制御できる機能を追加

2026年4月

Docker Model Runner との統合

設定なしで数分で起動できるようになりました

2026年3月

MCP サーバー対応の本格化

外部ツールと連携して AI エージェントとして使えるように

2026年2月

PostgreSQL での pgvector(ベクトル検索)対応

RAG の検索速度が大幅に向上しました

2025年12月

ナレッジベース機能を大幅刷新

操作画面が一新され、より直感的に使えるようになりました

注目: OpenWebUI は開発がとても活発で、 すべての新機能や改善点を追いかけるのは大変です。 公式リリースページ を定期的にチェックしましょう。

まとめ

✅ 向いているケース

  • 社内の機密データを扱う組織
  • 複数の AI モデルを比較・使い分けたい
  • ローカルモデルとクラウド API を組み合わせたい
  • RAG で自社ドキュメントを AI に参照させたい
  • 企業レベルのセキュリティが必要

❌ 向いていないケース

  • とにかく手軽に使いたい(ChatGPT で十分)
  • 専門的なデータ分析(専用ツールを推奨)
  • 本格的な画像生成(Stable Diffusion WebUI を推奨)
  • コードを一切書きたくない(UI がエンジニア向け)

🚀 次のステップ

まずは Docker でローカルに立ち上げて、RAG に自分のドキュメントを読み込ませてみてください。
想像以上にいろんなことができると感じるはずです!